はじめに:全日制を降りた私を待っていた「次の選択肢」
前回の記事では、全日制高校での人間関係や家と学校のギャップに耐え切れず、「高校中退」という決断を下したときの絶望と、そこから逃れるまでのリアルな体験をお話ししました。
学校を辞めたら、私の人生のレールは完全に途切れてしまうのではないか
これ以上、周りの目を気にして生きるのはもう無理だ
そんな不安を抱えながらも、どうにか自分の心を守るために全日制という環境を降りた私でしたが、中退した直後から現実的な問題が目の前に立ちはだかりました。それは、「これからどうやって生きていけばいいのか」という進路の壁です。全日制という巨大なレールから外れた私にとって、世の中はあまりにも広く、そして冷たく感じられました。
今回の記事では、高校を辞めた私が「高卒認定」という選択肢からどのようにして「通信制高校」にたどり着いたのか、当時抱いていた偏見や不安、そしてそれをどうやって解消していったのかを詳しくお話しします。

でくのぼう
通信制高校って実際どうなの…世間から変に見られない?
と気になっている方や、全日制以外の進路を探している方のヒントになれば嬉しいです。
全日制以外の選択肢を知ったきっかけ:母の言葉と現実
全日制高校を中退した後、私は最初から通信制高校をすんなり選べたわけではありませんでした。当面の私の考えは、「とりあえず高校なんて辞めて、自分のペースで『高卒認定試験(高認)』を受けて、そのまま専門学校か大学にでも進学すればいいや」という、どちらかといえばその場しのぎの思考でした。毎日のプレッシャーから解放されたい一心で、目先の楽な方法ばかりを考えていたのです。
しかし、その私の浅はかな考えに、真っ向から待ったをかけたのが、ほかならぬ母でした。
母の願いと、高卒認定という壁
母は、私が高校を中退するという不本意な進路を選んだことに対して、もしかしたら私以上に大きな不安や、親としての責任を感じていたのかもしれません。ある日、ダイニングテーブルに向き合ったとき、母は真剣な眼差しでこう言いました。
高卒認定は、合格しても『高校卒業』の学歴そのものになるわけじゃないから、できればやめておきなさい
誰かの目がある環境で、ちゃんとカリキュラムをこなして、確実に『高校卒業』の資格を取りなさい。それが、これからのあなたの選択肢を一番広げるから
その言葉を聞いたとき、私はハッとさせられました。自分の心を守ることで精一杯で、自分のことだけで頭がいっぱいになっていましたが、娘がレールから外れたことで、母親もまた将来への計り知れない不安を抱えながら耐えていたのです。
「これ以上、母を悲しませたり不安にさせたりしてはいけない」 その気持ちを少しでも和らげたい、安心させたいという思いもあり、私はもう一度、高卒認定以外の進路も含めて、現実的なルートを真剣に調べ直すことにしたのです。
サポート校を候補から外した理由:「今は人と関わりたくない」
高卒認定以外の進路として、次に名前が挙がったのは「サポート校」でした。通信制高校と合わせて通うことで、学習のサポートやメンタル面のケアをしてくれる場所として、多くの不登校経験者や高校中退者が利用しているシステムです。
しかし、当時の私にとって、サポート校は少しハードルが高すぎて、どうしても選ぶことができませんでした。
インターネットやパンフレットで情報を集めていくと、当時のサポート校はイベントやグループ活動がかなり活発な印象を受けました。「みんなで一緒にキャンプに行こう!」「サークル活動や文化祭で友達を作ろう!」といったアットホームで明るい雰囲気が前面に出ているところが多かったのです。それは素晴らしい環境なのだと思いますが、当時の私のボロボロに傷ついた精神状態とは完全にミスマッチでした。

でくのぼう
今の私は、とにかく人と距離を置きたい。誰とも深く関わらず、一人で静かに誰の目も気にせず自分のペースで勉強したいんだ
もしここで無理にイベントの多いサポート校に入ってしまったら、全日制に通っていた時と変わらない人間関係のストレスや、「みんなに合わせなければならない」というプレッシャーを再び抱えてしまうかもしれない。そう直感し、サポート校は早い段階で私の進路の候補から外すことにしました。
また、一般的な私立の全日制高校と変わらない、あるいはそれ以上の学費がかかるという金銭的なネックも、当時の我が家にとっては見過ごせない大きな理由の一つでした。
当時抱いていた通信制高校への本音:拭えない不安と偏見
サポート校を除外したことで、いよいよ選択肢として「通信制高校への転入・編入学」が本格的に浮上してきました。しかし、名前は聞いたことがあっても、当時の私にとって通信制高校は未知の世界であり、心の奥底には強い不安や偏見がつきまとっていました。
頭の中には、次のようなネガティブな疑問や恐怖がぐるぐると渦巻いていました。
- 「通信制高校出身だと、アルバイトの面接や将来の就職活動で、面接官に珍しがられたり、『何か問題を起こした子なのかな』と腫れ物扱いされたりするのではないか」
- 「世間の『普通』から外れたルートを進むことで、まともに相手にされず、書類選考や面接の段階で簡単に落とされてしまうのではないか」
周囲の目を極度に気にしていた当時の私は、「全日制を途中でリタイアした人間が、通信制でラクをして高校を卒業したところで、社会に出てから本当に通用するのだろうか」という強い劣等感を拭えずにいました。世間の偏見の目を恐れるあまり、通信制高校のパンフレットを取り寄せることすらいちいち大きな勇気が必要だったのを今でも鮮明に覚えています。
不安や偏見が解消された「決め手(納得の瞬間)」
そんな私の通信制高校に対するモヤモヤとした不安や偏見を、根本から払拭してくれた「決め手」となった出来事がありました。それは、実際にいくつかの通信制高校のパンフレットを取り寄せ、「卒業生の進路実績」を細かく隅々まで読み込んだことでした。
パンフレットや公式サイトに載っている卒業後の進路を見ると、そこには私の想像を遥かに超えた、力強い現実がありました。
看護やデザイン、ITなどの専門学校へ進学して自分の専門性を磨く人、大学や短大へ一般受験や指定校推薦で合格していく人、そして一般企業にしっかり就職して社会人として生き生きと羽ばたいている先輩たちが数多く載っていたのです。
それを見た瞬間、私の中で凝り固まっていた偏見がスッと音を立てて崩れ去りました。

でくのぼう
通信制高校だからといって、その後の人生の選択肢が狭まるわけじゃない通信制出身だから就職できないなんてことはなくて、結局はそこで自分がどう過ごすかなんだ。
特別な天才だけが進路を切り開いているわけではなく、普通の私と同じように全日制を一度立ち止まった人たちが、それぞれのペースでちゃんと社会へ繋がっている。その事実を知ったことで、私は「通信制高校だからといって、自分の将来を過度に悲観しすぎる必要はないんだ」と素直に納得することができたのです。
実際に分かった学習スタイルと単位取得の流れ
通信制高校に対する精神的なハードルが下がると、次は「具体的にどうやって勉強していくのか」というシステム面を調べ始めました。実際に仕組みを知っていくうちに、「これなら、今の不安定な自分でも無理なく続けられるかもしれない」と、確信に変わっていきました。
通信制高校の具体的な学習スタイルと単位取得の流れは、おおむね次のような仕組みになっていました。
- 日々の学習: 自宅のパソコンやスマホアプリを活用して動画授業を視聴し、それぞれの単元ごとに確認の小テスト(レポート課題)に取り組む。分からないところは何度でも繰り返し見返せる。
- スクーリング(面接指導): 年に1週間程度、指定された会場や本校へ登校し、対面での授業や特別活動を受ける。
- 単位取得: スクーリングに出席し、現地での期末試験(単位認定試験)で一定の点数をクリアすることで、卒業に必要な単位を確実に積み上げていく。
毎日決まった時間に満員電車に乗って学校へ行く必要がなく、自分の体調や精神状態に合わせて学ぶ時間をコントロールできる。自分と向き合う時間をしっかりと確保しながら、確実かつ安全に「高卒資格」というゴールを目指せる仕組みが整っていることが、当時の私にとって何よりも強力な安心感に繋がりました。

でくのぼう
ここなら、もう一度自分の足で立ち上がれるかもしれない
そう思えたことが、私の暗かった心に小さな、けれど確かな光を灯してくれたのです。
おわりに:次の一歩を踏み出すあなたへ
全日制高校を中退したときは、「自分の人生はもうレールから外れてしまった」と絶望のどん底にいましたが、視野を少し広げてみることで、世の中には思いのほか多様な学びの形が存在していることに気づきました。
通信制高校は、「全日制に行けなかった人のための妥協の選択」など決してありません。それは、自分の心と体を守りながら、自分のペースで人生を再設計するための「前向きで賢明な戦略」です。
「通信制高校って実際どんな感じなんだろう?」 「自分に合う学校はどうやって探せばいいんだろう?」
もし今、過去の私と同じように通信制高校への進学を考えていて、一歩を踏み出すのに少し不安を感じているなら、まずは資料を取り寄せて、世の中の選択肢を自分の目で確かめてみることから始めてみてください。きっと、思っている以上にたくさんの可能性があなたを待っています。
次回の記事では、通信制高校に入学した私が、実際にどんなスクーリング生活を送り、どのようにして新しい友人や自分の居場所を見つけていったのかについて詳しくお話しします。

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